(2021年4月9日付)
本記事の投稿からわずか1か月で薨去とは・・・

王配69年、時には失言で世界を驚かせた一面もありましたが・・・

合掌。




世界中の宗教を広く浅―く学んでいくと傾向というのがうっすらと見えてくることがありまして、例えば過酷な環境で生まれた宗教は自分を律したり神様が人に罰を与えることに躊躇が無かったりと、なかなか信仰者あるいは信仰しない人間に対して非常に厳しいものが多いです。具体的なユダヤ教の選民思想やイスラム教の戒律主義、キリスト教
(とはいえこれは中世ヨーロッパによる所は多いでしょうが)の原罪思想などただでさえ苦しいこの世に時には人々をより苦しめる方向に導いたりしています。

 

 

 

一方で、オセアニアの南国で生まれる宗教はどこか能天気というか、戒律などはほとんど存在せず、人々が普通の日常を送っていれば自然と救われるようなポジティブな思想のものが多いように感じられます。まぁ周囲は海と森林ですから、採集と漁するだけの人手と技術があれば食うには困らないので、人々を戒律で厳しく縛り付けなくても十分生きていける環境だからなのでしょう。

 

 

 

そんなオセアニアにも文明化の波が訪れます。第二次世界大戦では数多くの列強国の戦艦や飛行機が飛び交い、あるものは撃沈され、あるものは難破してどこかの島に流れ着き、常夏の島に物言わぬ鉄塊として現地民の知るところとなります。

 

この飛行機の残骸に住民は「幸せを運ぶ神様の使い」を見出しました。つまり、いつの日か神様が天国からすばらしい文明の利器を授けて自分たちの生活が豊かになる。そしてその媒体は飛行機や船のような姿で現れる。外の世界の人々(つまり西洋人)は文明の利器を

 

 

何というゆるゆるとした他力本願寺の思想、北センチネル島の人々がこの思想を知ったらどう思うでしょうか?ただ、意外と日本も日本で本地垂迹説やらクリスマスやハロウィンが曲解されて西洋人から見てとても変な風習が生まれたりと・・・

 

 





















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そして今回紹介するバヌアツ共和国のタンナ島・ヤオーナネン村で信仰する宗教は一味違います。彼らはグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国のエディンバラ公フィリップ殿下を「神」として崇め奉っています。

 

 

どうしてこんなことになってしまったのかというと、先程説明したカーゴカルトに加えて、第二次世界大戦以降太平洋の覇権をめぐって宗主国同士の対立が進んだ結果、政治的には全く無関係だった島の住民にもプロパガンダ的にイギリスSUGEEEEなイメージが伝わり、このおかしな信仰が誕生してしまったのです。

 

 

そもそもこの地域では昔から「山の精霊」が「海の彼方で修行して異郷の地で結婚し強くなって帰ってくる」という伝説があるらしく、その山の精霊=1974年に訪問したフィリップ殿下となってしまったのだとか。今のフィリップ殿下は世を忍ぶ仮の姿で、人間体の寿命を迎えると、タンナ島に戻ってきて住民たちに富をもたらすのだとか。

 

 

 

ある日本人のオタクがエロマンガ島に行って「エロマンガ先生」なる日本のアニメを紹介した結果、村民がそれを崇拝対象にし始めた話を思い出した・・・。原住民の文化の破壊だと嘆くのか、政治戦争を知らないほほえましい世界だと癒しの話題なのか。

 

 

 

で、どこか知らない遠くの国から神様として崇拝されていることを知ったフィリップ殿下はヤオナーネン村に自分の肖像写真を寄贈。これに対して村は狂喜乱舞。何せ神様自身が聖遺物を正真正銘の送ってきたんだからね。村民は感謝の証として家畜を屠殺するための道具を献上。すると、今度はその棍棒を手にする殿下の写真が再び贈られたのです。流石、世界のイギリスの王族、ガチれば地球の裏側であっても人心掌握は余裕というわけですな。