主君、三好長慶より大和に領地を与えられてイケイケ状態な松永久秀。そんな彼の領地に謎めいた坊主が現れます。興福寺の近くにある猿沢池にて巧みな話術で人を集めたその坊主はその場所でパフォーマンスを始めました。
皆の前で木の枝を池に投げ込むと、その枝は鯉となって水の中を泳ぎだしました。この幻術に一同驚愕。感動で涙が止まらない・・・。
もちろんこの幻術を認めない輩も出てきます。すると坊主はインチキだと騒ぎ立てる男の前に進み出ると、さっと楊枝をひと撫ですると、
その男は思わず口をふさぎました。その次の瞬間、男の前歯は今にも抜け落ちんばかりの状態になっていました。男はその恐怖に涙が止まらない・・・。
こうした往来で幻術を見せる坊主が話題となり、興味を持った久秀は彼を自分の屋敷に招き入れました。素性を聞くと、果心居士と名乗った彼はもともと興福寺の僧だったが幻術ばかり使って人を惑わすので寺を破門にされてしまったのだとか。
久秀「何が望みだ」
果心居士「今や私は破門の身分。このような乞食は一人で憂き世を生き抜くことは到底できますまい。どこかお殿様に仕えたくございまする」
久秀「ほう、見上げた志だ。確かにお前の幻術は戦で大いに役に立つかもしれない。しかしお前を一つ試して。私は長年戦場を駆け抜けてきてここまでのし上がってきた身だから、怖いものなんかなくなってしまった。そんな私に本気で怖いと思う物を見せてみよ」
と、久秀は果心居士に難題をつきつけました。久秀はご存じ、主殺し、将軍殺し、大仏焼きと数々の悪行を重ねてきた戦国三悪人の一人ですから・・・
しかし、居士はニヤリとすると何やら準備を始めました。するとあたりが突然暗くなり目の前に一人の女が・・・
流石に不安になってきた久秀がその姿を見てみると
「ギャーッ！！！！！出たああああああ！！！！！！」
なんとその女は、すでにこの世を去った彼の正室だったとか。
※あの世の家族と遭えた感動の再会シーンのはずなのに、何故大川隆法ばりのコミカルシーンになってしまうのですか？やっぱり側室に浮気か・・・
こうして久秀は大いに震え上がらせた果心居士でしたが、結局久秀に仕官することはかないませんでした。ちなみにこの後豊臣秀吉にも同じような死んだ女の幻影を出現させ、狼狽した秀吉に磔にされて処刑されています。
誰にも触れられたくない過去はあります。何でもかんでも暴いて人の心を踏みにじるのは控えるようにしましょうね。男たちは妻たちの気持ちを踏みにじっているって？そうだな・・・
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