社会が戦争や恐慌によって困窮を窮めるとおかしな独裁者や宗教が台頭してくる現象は世界史の常識でもあります。ロシアに自然発生したスコプチ教はその中でも群を抜いて奇抜でアブない宗教でした。


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スコプチ教とは18世紀末のロシアで生まれた東方正教系の分派であり、いうなれば「キリスト教スコプチ派」みたいなたくさんあるキリスト教の一派に過ぎません。しかし、農奴や貴族など身分を問わずこの宗派はロシア中部に広く伝播し、最盛期には少なくとも6000人、大袈裟な説になると数十万から100万の信徒がいたといいます。

 

 



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しかし、ロシア革命後全体主義を主導し「労働による過労死こそが天国への近道!(大嘘)」を掲げるソ連政府には大変嫌われ激しい弾圧を受けました。そりゃ全体主義者から見れば隠れてコソコソと民間宗教なんかする組織なんて邪魔者でしかないからね、ファッキュースターリン。

 





 

スコプチとは「去勢」という意味であり、信者は火とハサミで男性器/女性器(あるいは乳房)を切り取る儀式を行っていました。






















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彼らは去勢することで肉欲を断ち、完全な存在となることで神の国へ行けると信じていたようです。彼らによるとキリストも不具者であったと主張していたとか・・・

 





現在のスコプチ教のようなもの(BME Video)を見て驚愕する人々









 

さらに肉欲を断ったことで性欲に代わり金銭欲が増え、また子供もいないので他の宗派よりも貯金に励むようになりました。そうしてできたお金で金融業に携わったり孤児院を運営したりして、ますます教徒を増やしていきました。最終的には去勢した者だけが天国へ行ける=全人類の去勢を目指すことを目論んでいたようです。




よくわからんけど一言でいえば「自分のソーセージを生贄に世界を創成しようとしていたん」ですね。









こうしたヤベー奴らが最盛期には数十万人・・・これを壊滅させたソ連政府、サンキュースターリン。

 

 

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↑スコプチ教に入信して後悔する人の図(大嘘)





 

しかし、こんなカルト宗教がロシアで広まったのはなぜでしょうか?それは当時のロシア帝国や正教の腐敗政治と圧政に理由があると言われています。ロシアの政治は極めて単純で今も昔も反対意見は秘密警察と粛清で封殺するのが定石、さらに寒冷地域で飢饉も発生しやすい土地柄を考えると、日々の生活も信仰の自由もままならないロシアの貧しい人々にとって「反出生主義」なる考えが自然発生するのも無理もない話なのかもしれません。





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その極端な例が去勢で肉欲を捨てるという斜め下の発想に付ききったのがスコプチ教となるわけです。兵士は畑から獲れる、産めよ増やせよと人口増大ばかり考える国家に対し、子孫を残さないという消極的な抵抗(テロリズム)はロシア政府にとってどこか不気味なものに違いありません。この考え方、今の日本にも通じるような・・・

 

 

実際の所、去勢に至ったのは宗徒全体からみてもほんの一部だったとか・・・ただし、去勢の対象に選ばれたものは、怖気づいて逃げ出すと地の果てまで追いかけ儀式にかけ、儀式の際中に悶絶死したものも少ないとか・・・






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こうしてロシアで生まれた屈指のカルト宗教は1970年代には末端組織を含めて地球上から痕跡を残さず消滅したと言われています。まあTNTNぶったぎって子孫残せないんじゃ宗教も次世代に残せないからね、逆に言えば彼らにとっては反出生主義=神聖視しているので次世代に残さないことこそ、彼らの言う究極的なゴールにたどり着いていたのかもしれませんが・・・

 









ロシア中世教会史
ジョン フェンネル
教文館
2017-02-22